これまで企業の競争優位は、業務効率化・IT投資・データ整備によって生まれてきました。しかしAIがその大部分を代替していくことが確実となっている今、「技術を導入した企業か否か」はもはや差別化になりません。これから差がつくのは、「技術を前提に意思決定し続けられる企業か否か」です。
それに伴い、プロフェッショナルに求められる価値も変わります。「知っていること」はAIが代替し、価値の源泉は「知」から「胆」へ——決めて、動かす力へとシフトしています。しかしその「胆」を発揮するための前提、つまり技術を活かせる組織と構造が整っていなければ、どんな意思決定も空回りします。
現実に、PoCは成功してもDX化は実現せず、またシステムを入れたものの使われないという例は多く見られます。AIは増幅器です。整った組織に入れば成果を増幅させ、整っていない組織に入れば混乱を増幅させます。問題は技術ではなく、技術を活かすための組織と構造が整っていないことです。
導入した、成功した——そう見えても、成果が続かなければ本質的には意味がありません。つまり、現在の社会には、かりそめの成功が溢れています。