プロジェクトストーリー

ETLツール環境整備プロジェクト

必要なデータを必要なときに使うための
データ利活用環境整備プロジェクト

  • T.H.
    データストラテジー
    事業部
    2020年入社
  • T.M.
    データストラテジー
    事業部
    アーキテクト2020年入社
  • Y.M.
    データストラテジー
    事業部
    事業部長2020年入社

ビジネス戦略のベースとなるデータ活用をコンサルティング

T.M.

プロジェクトのスタートは、放送事業社様からの「視聴データの加工をもっと効率化したい」というご相談でした。
各家庭に設置された受信機から取得できる様々な種類の、膨大なデータをうまく活用することで、ユーザーへのコンテンツのリコメンドやオプションの提案など、様々なマーケティング戦略を構築できます。そこでお客様自身でETLツール(様々な場所で生成するデータを収集、整理するツール)を導入し、分析しようとされていたのです。
しかし、想定どおりのデータを作るのが難しく、必要なときに必要なデータを見ることができずにいました。

結果的に、何か分析したいデータがあるときには各担当者がその都度データを集め、加工も手作業で行っていて、さらにはそれらがすべて属人化している状態になっていたのです。

Y.M.
そうすると、せっかくデータ分析のツールを入れていても、次に似たような分析をする際にも、もう一度最初から行わなければならないんです。
ただ、こうした状況はそれほど珍しいことでもありません。今や様々な企業でBI(データを分析するためにビジュアライズするツール)やDWH(データを収集、保管する格納庫)を入れていない企業はないというくらい、データ系のツールは普及していますが、うまく使いこなせている企業様はまだそれほど多くないと実感します。
T.M.
今回のお客様は、「データ戦略室」。
本来は「データをもとにどんなビジネスが創出できるか」を考える方達で、ITの専門家ではありません。ですので、現状のデジタル環境の課題抽出から必要でした。
たとえば、システムやツールの使用環境のどこに問題があるのか? ツールがうまく使いこなせていないのか、あるいは他のツールとの組み合わせがよくないのか、それともデータの整理手順自体に問題があるのかといったことですね。そうした課題の検証、判断を正確していかねばなりませんでした。
ただ、この部分は本来のお客様の業務である「データ戦略」構築の基礎になりますし大きな方向性のベースにもなるので重要なポイントです。
Y.M.

経営に役立つデジタル活用の大前提として、データを分析するためにデータが使いやすい形になっている必要があります。実はその「形」を作ることが、多くのITプロジェクトの中で難しいポイントになっています。

今回のプロジェクトでは「データをどう使うか」の戦略構築に、お客様が、正確に、速やかにシフトいただくことがポイントです。そのために当社が初めに取り組んだのは、「膨大なデータを必要な時に、必要な形で利用したい」を実現する環境を構築することでした。
今回は、この起点をしっかりと作りあげたことで、次のデータ利活用へのコンサルティングへと発展していったケースです。

テックへの知見をもとにプロジェクトの意味、価値を正確に捉える

T.M.

こうしたプロジェクトは、「何らかのシステムをつくって納品する」という案件と違って、当初は目指すべき「完成イメージ」が明確化されていないことが多いのです。
今回の場合、お客様にとって、最終的なゴールは「データ戦略を作り、レポートを作り、売上を伸ばす」ということになります。しかし、現状のデータ環境から、最終ゴールまでつなげていく道程が見えていませんでした。そこでお客様に「データとはどのように利活用できる環境を持てばいいのか」という「完成イメージ」を提示し、そこに向けて具体的にどう動いていくのかを提案することが私達の仕事です。

そもそも「どうなればデータ利活用が効率化したといえるのか」の定義からして難しいのですが、それを担えるのはテクノロジーへの知見、スキルあればこそです。実際に問題をどう解決できるのかは、テックへの知見が絶対に必要になります。
たとえば今回最初に着手した日次レポートの改善も、スクラッチのシステムで行う事とツールの中で行うのでは技術レベルがまったく違う。こうしたことを踏まえてプロジェクトを推進することも、テクノロジーコンサルタントとしての腕の見せ所です。

顧客への真摯さを持ちつつ合意形成をしていくこと

T.M.

プロジェクトの最終的な目的は、お客様のビジネスの発展です。お客様にとって重要なのは「データを使って何をするのか?」。
期ごとの目標に柔軟に対応できるよう、3カ月単位でやることを決めて実行していきましたが、3カ月でできることには限りがあります。できるだけ内容を絞り込み、やりとりの量が少なくてもスムーズに進むよう工夫しました。

何より重要なことはお客様との合意形成です。システムを組むこと自体はスキル次第でできますが、これを達成するのは、実はドキュメントの書き方、コミュニケーションの取り方といったIT以外の職能です。
今回、新人のT.H.さんも苦労しながらもここをがんばってくれたし、成長してくれたと思います。技術に加え、こうした職能を磨くことで、「改善案」を作るというコンサルタントとして絶対に必要な力に結びついていきます。

T.H.

私がプロジェクトに参加したのは入社半年後。まだできることには限りがありましたが、お客様とT.M.さんの決定した内容を実際に作る担当でした。この業務に取り組むことで、今後必要となるテクノロジーコンサルタントとしての技術的な基礎の経験を積むことができました。

データ利活用のシステムを運用するうえで重要なのは、ミスのない安定的な運用です。具体的には、システムやエクセル関数などで機械的にミスを検出できる仕組みや、実行前のチェックポイントを作り、効率のよい安定的な運用のベースを作ることができたと思っています。最初は、T.M.さんを真似るところから始めました。

T.M.
さらにそうやってシステムを動かしていると必ず、ボトルネックが見えてきます。そうした部分について、少しロジックを変えることで改善するようならお客様に提案をしていきます。そうしたボトルネックに関する気付きなども、T.H.さんが発信してくれていました。
T.H.
他より処理に時間がかかっているところや、手作業で進めているけれど反復処理の多い部分……要するに自分が「手間だな」と思う部分ですね(笑)。そういうところには、システム化を行える可能性が隠れているのです。
当時はまだ、自分一人で解決の提案まではできませんでしたが、T.M.さんたち先輩に相談しながら提案を重ねてきました。
Y.M.
プロジェクトも始まって2年が経ち、使い勝手のよいデータベースも完成したので、この4月からはデータ利活用へのコンサルティングへと発展しています。T.H.さんに加えて、新たにメンバーも増え、案件規模も大きくなっています。これは社内のスキルアップにもつながり、よろこばしいことです。
T.M.
こうして長くプロジェクトが続き、少しずつ業務が拡大しているということは、お客様から評価をいただいているということだと思います。何より仕事の手応えが感じられて嬉しいですね。

新しいサービスを積極的に活用しつつ、一歩先を見据えた提案を

T.M.

前職ではSI企業で金融システムの保守を担当していました。同じシステムに10年ほど関わっていたこともあり、プログラマー、案件担当者、プロジェクトリーダーなどひと通りの役割を経験しましたが、新しい技術や手法に触れる機会が少なかったのも事実です。

デリバリーコンサルティングに入社してからは、BIツールやクラウドサービスなど新しい様々なテクノロジーを駆使してお客様の悩みを解決するところに面白さを感じています。当然、勉強することは多くなりますが、会社としても新しいテクノロジーやツールを発掘し、取り入れ、活用することに積極的で、どのテクノロジーにもエキスパートが社内にいるので、直接アドバイスを受けながら学ぶことができています。

昔は、企業のためのシステムをフルカスタマイズで作っていましたが、そのためにはお金もかかるし、完成した頃には時代遅れになっていたりもする。様々なツールが存在する今、ツールをベースに、部分的にカスタマイズして使っていくやり方は理にかなっています。
そんな時代に、テクノロジーコンサルタントの名にふさわしい提案力を身につけるには、システムに関する基礎知識と、ツール、テクノロジーへの理解が欠かせません。そのためにも、自分から興味を持って様々なツールを実際に触り、活用していくことが大事だと思っています。

T.H.
そうやって先輩たちが実際にテクノロジーを触ったり書籍を読んだりして勉強している姿を見ていると、私も積極的に学んでいきたいと思いますね。自分が気づいた問題点を自分で解決できる力を、まずは身につけたいと思います。
T.M.
最近は、「ビジネスとは何か?」ということについても学んでいます。どのようにシステムを入れるとビジネスに成果がもたらされるのか、専門書を読んだり、プロジェクトの外のメンバーと話したりすることで、ヒントを得ることも多いですね。
新しいことや専門外のことについて学びたい意欲のある者にとっては、恵まれた環境といえます。
Y.M.

上場もしてステークホルダーも増えた今、若いメンバーには、ぜひお客様の一歩先を行く提案ができるよう、ステップアップしてほしいですね。直近のご要望だけでなく1年先、3年先、5年先を見据えた提案や、今お付き合いのある部署のニーズだけでなく、隣の部署に対しては何ができるか?といったところまで視野を広げていくことが、もっと仕事を面白くすると思います。

今回のプロジェクトメンバーの成長ぶりを見てもわかると思いますが、チャレンジし学ぶ意欲があれば、今まで未経験なことでも当社ではしっかりと結果を出すことができるよう成長できる、教育システムやノウハウ集が整備されています。

ビジネスにおけるデジタル変革の中核は「データの利活用」だと思います。「データを美しくしてビジネスを変える」「データとデータを組み合わせて価値を生む」という体験ができるテクノロジーコンサルティングの世界にぜひ挑戦してみてほしい思います。絶対に面白い仕事だと思います!